高野山にいこうと、半ば思いつきで、旅に出た。
動機としては、
瀬戸内寂聴さんが、高野山出身の尼僧であるということ。
最近、海外からの訪問者が多く、評価が高いとニュースでみたこと。
その週の日曜日に、インドのとある予言書を読むことになっており、身を清めておきたかったこと。
予約をしたのが、日曜日頃。
月曜日からの宿泊を考えたが、泊まりたかった宿は、既に満員。
木曜日からなら、かろうじて、一室空いているとのことだったので、木曜日から二泊することにし、それまでは鎌倉の、なじみの宿坊で過ごした。
出発日、実は、その日は水曜日だった。
鎌倉での用事をすべて終えてしまった私は、時間を無駄にしたくないと思い、別の宿坊を予約して、とにかく出発してしまおうと考えた。
そして、一日づつ延泊という形で泊まっていた鎌倉の宿が、いよいよその日は、部屋があいていないということもあり、半ば追い出されるような形で鎌倉を後にすることにしたのである。
鎌倉を出発したのは、およそ9時ぐらいだったろうと記憶している。
その後の沖縄行きの荷物がまるごと入った重いスーツケースをひきずり、品川で降りて、新幹線に乗った。
東京駅で乗り換えた方が、良い席がとれるかと思ったが、東京駅の横須賀線のホームは、地下深くにあり、地上の新幹線のホームにいくのは、かなりの労力がかかる。
重い連れ子を抱えていた私としては、品川駅の横須賀線のホームと新幹線のホームが、東京のそれより近いことに期待した。
この読みはあたり、品川駅のホームからエスカレーターをのぼり、それから程なく歩いたところに、新幹線の改札はあった。
今後、鎌倉から新幹線に乗るときは、品川経由にしようと、このとき決心したことは言うまでもない。
10:17の新幹線に乗ったと記憶している。本当は10:07に乗る予定を、路線検索をみてたてていたが、それはあと4分で、新幹線の入り口にいかなければならないことを意味していた。
手慣れた新幹線のチケット販売員の勧める通り、私は10:17発のチケットを買い、すきやき弁当とお茶を買って、博多行きの新幹線、グリーン車に乗った。
私は大抵、新幹線はグリーン車に乗る。
ひとつは、グリーン車は電源がついており、心置きなくパソコンが使える。
また、座席前の机が、椅子の付け根から生えており、パソコンを使ったときの振動が前の人に伝わりにくい。
最後に、荷物が多いとき、隣においておいても、席が空いている限りは、多めにみてもらえる。
もちろん、その分、高くはなるわけだが、新大阪までの3時間前後の時間、それだけの快適さと、その間にも大抵、私は仕事をするので、払った金額分は十分に、現実的な支払い報酬金額としてペイしてしまうのである。
これは、私がネットを中心として仕事をしていることと、関係しているが、おそらく同様な仕事をしている者は、同じ選択をしているはずである。
よほど疲れていて、寝るだけというのであれば、グリーン車をとることもないが。
また、私は日陰の席をとる。
やはり景色はみたい。
さて、そうこうしているうちに、新幹線は出発した。
新横浜で泊まった後ののぞみは、あっという間に時速300キロまで加速し、窓の外の風景は飛ぶように過ぎていく。
そのスピード感に快感を感じつつ、私はMacBookAirを広げ、docomoのデータ通信端末を使って、検索広告に使うキーワード収集をしたり、高野山や、高野山の後に行く予定の石垣島、西表島、与那国島などの情報収集をした。
また、メールの返答や、私が地元で行っている講座のホームページ修正などをした。
そんなことをしていれば、3時間などあっという間である。
途中、私の席の前の中年男性の整髪剤の匂いが気になった。
席をめいいっぱい倒すものだから、前屈みになってパソコン作業をする私と距離がやけに近い。
私は、中年男性が共通して使う、整髪剤の匂いが嫌いだ。
バーコードのような、無い髪を無理矢理しいて、あの整髪剤でまとめるのだろうが、なぜ、あんなに嫌な感じがするのだろう。
たいてい、あの匂いをさせる男というものは、高圧的で管理職なイメージがある。大抵、不機嫌で、相手をバカにしたような顔をしている。
満員電車で、そのような男が、こずいてきたりなどすると殺意すら覚える。
それぐらい、私はあの整髪剤の匂いが嫌いである。
さて、バーコードの整髪剤中年男は京都でおり、私は新大阪で降りた。13時前後である。
ここから御堂筋線で、なんばまで行き、なんばから南海鉄道で、高野山へ行く。途中、極楽橋という駅で降りて、ケーブルカーに乗るらしい。
しかし、切符は高野山までになっていた。混乱したが、どうやらケーブルカーも南海鉄道の一部らしい。
特急列車のチケットを買った。なんばから、高野山まで、乗車券特急券込みで1990円。
普通電車でもよかったが、5時までには到着するようにと宿坊に言われていた私は、多少の贅沢を自分に許した。
これが後に、良い選択だったと知った。
急行も、高野山近くまでいくと、各駅停車になる。それもそのはず、そのあたりは単線であり、普通電車は各駅で停止しては、対向列車や特急電車が追い越すの待つのである。
普通電車を選んでいたら、文字通り日が暮れてしまい、5時には間に合わなかっただろう。
単線に入ると、窓の外の風景は山間の村の様相を呈してきた。駅も風情がでてきて、人気がなくなってきたのを心地よく感じた。
やがて、極楽橋に着き、ケーブルカーに乗り換えた。
ケーブルカーはすぐに出発した。ケーブルカーは、おそろしく急なこう配を上り始めた。
45度ぐらいあるのではないか。
10分ほど上り、高野山に到着。それからバスに乗って、一日目の宿、一乗院へとたどり着いた。
着いたのは15:20頃だと記憶している。
16時ごろ到着すると言ってあったので、予定通りだ。
路線検索通りにはいくまいと思っていたが、案外、その通りに動くことができて、日本の鉄道の時間の正確さに感謝するのであった。
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